量子サイズ効果(quantum size effect)とは

物質の少なくとも一方向の長さが電子のフェルミ波長と同程度(ナノメートルサイズ)となった際に現れる物理現象.微粒子の分野では久保効果と呼ばれる.この程度の大きさでは,電子のエネルギー状態は自由電子の場合の連続帯から離散単位へと変化し,電子波のコヒーレンスが保たれる.閉じ込め電子が定常波となることでも説明できるが,量子力学の井戸型ポテンシャル中の粒子運動と同じであることから,これら物質系の光物性,電気伝導,比熱,電磁率などのさまざまな物性に現れるサイズに依存した変化は総称して量子サイズ効果と呼ばれている.なお,超微粒子では静電容量がきわめて小さく,1個の電子の授受で静電エネルギーが大きく変化するので電子は容易に動けない.これにも量子サイズ効果が現れる.半導体では原子層レベルでの薄膜および微粒子成長技術やヘテロ核合技術が進歩しており,量子サイズ効果を利用した電子波・光波デバイスの研究の発展が注目される.