量子閉じ込めシュタルク効果(quantum confined Stark effect)とは

量子井戸構造に電界を加えることによって,室温でも顕著に現れる励起子吸収などの特徴がある.電界を量子井戸面に平行にかけるか,垂直にかけるかによって,その影響は大きく異なる.量子井戸面に平行に電界が加わった場合は,電界が弱い場合でも電子と正孔が分離し,励起子としての束縛状態が壊れる.しかし電界を垂直に加えた場合には量子井戸構造に特有の閉じ込め効果が強く現れるため,励起子は容易に分離しない.障壁層が励起子の分離を妨げ,励起子は分離しないで光吸収スペクトルにピークとして観測され,大きく低エネルギー側にシフトする.また,低エネルギー側へのピークシフトは主にエネルギーギャップの減少によるものである.このような量子井戸中の励起子の電界効果を量子閉じ込めシュタルク効果という.