レーザー誘雷(laser triggered lightning)とは

レーザーにより放電が起こりやすい通路(チャンネル)を作り,それに沿って雷放電を起こさせ安全無害な場所に落雷させる技術.放電路として,(1)強い発光を伴うレーザープラズマ(強電離プラズマ),(2)発光を伴わない弱電離プラズマ,(3)気体密度の低い希薄波チャンネルを作る方法,(1)と(2)の組合せなどの方法が提案されている.強電離プラズマ法には気体の絶縁破壊レーザー強度の低いCO2レーザーが現在のところ用いられている.弱電離プラズマ法には1光子で光電離が起こる短波長のエキシマレーザーが用いられる.希薄波チャンネル法は空気を加熱し密度を下げる必要があるため,空気に対して吸収係数の大きいレーザーが必要になる.具体的には送電線への落雷事故の多い日本海側の冬季雷を対象に研究が進められている.実際の冬季雷を対象としたフィールド実験は誘電搭を設け,その先端にCO2レーザーで強電離プラズマを生成する方法でおこなわれている.→冬季雷,多地点同時落雷