レーザーによる組織切除,レーザー組織蒸散(laser tissue ablation)とは

ablationは正確には切る,取り去るという意味で,タンパク質を凝固編成させるcoagulationと分けて使用されるlaser tissue ablationはレーザーによる組織切除,切開を指すが,単に「レーザーで焼く」という意味で用いられる場合もある.一例としては,経カテーテル的な心筋のレーザー熱凝固による頻脈治療法をlaser catheler ablationと呼んでいる.従来の外科術では組織を除去するには鉗子などを用いて切開なはく離,あるいはメスによる切開をおこなってきたが,laser tissue ablationは非接触で組織をその場で消滅させる従来法にはない新しい方式である.この特長は組織に力を加えることを極端にきらう脳外科の腫瘍切除術に新しい手術法を提供した.レーザーによる単なる切開も広義にはlaser tissue ablationとみなせる.この場合,代表的手術用具である外科メスと電気メスの中間的な止血性能と創傷治癒特性を持ち,実質性出血を伴う臓器の切開に多用される.laser tissue ablationの原理はほとんどの場合水分の沸騰に伴う細胞の消滅であり,紫外レーザーの照射でも分子結合の切断の寄与は小さい.→医用レーザー