レーザーMBE(laser molecular beam epitaxy)とは
レーザーアブレーンョンを超高真空(または,10-5 torr程度の反応性ガスを導入)下でおこない,原子分子層単位での成長をRHEED(reflection high energy electron diffraction, 反射電子線回折)やSTM(scanning tunneling microscopy)などでモニターしながらおこなう成膜法.高融点で多成分のセラミックスについても原子レベルの構造制御を可能にした通常のパルスレーザー堆積法(PLD)と異なり,10-5 torr以下の高真空(分子線条件)を用いることにより,電子線やイオンビームを用いる原子スケールのin situ表面解析と成膜パラメータへのフィードバックができる.真空室内に原料を分解および気化するヒータを設置しないクリーンなプロセスであるためアブレーションによって生成した原子やイオンは,気相中で衝突なしに基板に到達し,分子線に近い状態で積層される.このとき,アブレーションによって得た過剰エネルギーは良質の薄膜成長に有効に使われる.膜中の酸素量や窒素量(ノンストイキオメトリ)の制御には特別の工夫が必要であり,酸化物薄膜成長においては,気相の圧力を低くするため,強い酸化性ガス(オゾンやNO2など)を用いることが多い.→in situレーザー計測