0.98 μn帯励起(0.98 μm pumping)とは
EDFA(erbium-doped fiber amplifier)の励起波長帯として0.5 μm,0.6 μm,0.8 μm,0.98 μm,1.48 μm帯などがあるが,光源として小型で低消費電力な半導体レーザーが使用できる.また励起準位吸収(excited state absorption:ESA)による効率低下が生じないなどの理由で1.48 μm帯と0.98 μm帯が主に使用される.1.48 μm帯励起においては励起準位と誘導放出の上単位がきわめて近接しており,完全な3準位系を形成することができないため,雑音指数は良くても5 dB程度である.ただし,量子効率は高い.一方,0.98 μm帯励起では,EDFAが完全な3準位系として動作するため,雑音指数を3 dBの量子限界近くまで低く抑えることができるという利点がある.また,0.98 μm帯励起は量子効率は1.48 μm帯にくらべて低いが利得効率は高く,また励起光と信号光(1.55 μm帯)との分離も容易であるなどの利点がある.ただし,吸収の帯域幅が1.48 μm帯励起に比べて狭いので励起光源的波長の設定が厳しい.0.98 μm量子井戸半導体レーザーは信頼性が従来問題となっていたが,近年改善が進み実用上問題がなくなりつつある.→希土類ドープ光ファイバ増幅器