モノサイク光パルス伝搬(monocycle pulse propagation)とは
搬送波周期の数倍以下と幅が狭い光パルスの波動伝搬現象.時間幅数fs程度の包絡波パルスは,波長800 nmで周期2.67 fsの搬送波を数サイクルしか含まず,スペクトル幅も搬送波周波数と同オーダーまで広がる.またその生成および整形のため,ピーク強度を数百kW以上に高める必要がある.このような広帯域高強度の条件でファイバ中の光パルスの伝搬解析をおこなうには,最低次の分散および非線形効果として群速度分散(GVD)および自己位相変調(SPM)を導く非線形シュレディンガー方程式に代えて,マクスウェル方程式を直接解けばよい.電気分極に遅延応答を与える非線形ラマン応答,ファイバの有効コア断面積が周波数に応じて変わるコア分散,非線形外力の周波数比例因子に由来する自己急峻化などを仮定や近似を排して取り込み,フーリエ変換で線形および非線形過程を交互計算するスプリットステップフーリエ法で解けば,位相補償による圧縮パルス,非線形性による高次高調波波発生などを解析できる.