モード周期半導体レーザー(mode-locked semiconductor diode laser)とは
ほかのモード同期レーザーと同様に,能動的または受動的な,損失または利得の変調によりレーザー共振器内をピコ秒,サプピコ秒の超短光パルスが周回する動作をおこなう半導体レーザー.歴史的には,1980年前後に,AlGaAs系半導体レーザー素子を用いて,外部共振器構成で電流変調による能動モード同期によって数ピコ~数十ピコ秒幅の光パルスが得られることが示された.そのすぐあとに,半導体内の結晶欠陥が可飽和吸収体の働きをする受動モード同期動作によって,サプピコ秒の時間幅の光パルスの発生が確認された.現在では,光通信への応用を目指して,InGaAsP系の半導体レーザーにおいて,高安定性,コヒーレンス,低雑音,周波数と波長の精密制御などに多くの努力が払われ,外部共振器型のみならず,多電極の複数セクションからなる集積化デバイスの開発も進展している.利得領域のほかに,短パルス化の機能を担う逆バイアス印加の可飽和吸収領域,外部から高周波を印加して能動モード同期動作をさせるための吸収型変調領域,中心発振波長や発振帯域幅を制御する分布帰還型構造,電気的に屈折率を変化させて実効的共振器長を制御するための位格調整領域を有する紫子が,代表的な複数セクション型の形態である.しかし,一つのセクションが二つの機能を兼ねる場合もある.モード同期半導体レーザーでは,小型デバイスであるという特徴に加えて,高調波モード同期を可能にするデバイス設計により,数十GHz~THzの超高速パルス繰返し動作も実現可能である.