面発光レーザー(surface emitting laser)とは

従来のレーザーチップの劈開面から光を出す半導体レーザーとは異なり,レーザーチップの基板面と垂直方向(面方向)に光を出すレーザー.従来のレーザーの共振器構造でミラー,回折格子などを用いて,光の取出し方を変えて面方向に発光させるレーザーと,レーザーの共振器構造そのものを垂直方向にして面方向に発光させるレーザーとがある.後者はVCSEL(vertical cavity surface emitting laser)と呼ばれている.VCSELでは薄膜で形成された活性領域を高い反射率の反射鏡ではさみ,レーザー共振器を形成する.反射鏡には,半母体,あるいは,誘電体の2種類の異なった層を周期的に積層した多胞膜反射鏡が用いられる.99%以上の高い反射率も可能であり,長さ数μm程度の微小な共振器に光を閉じ込めることが可能になる.この微小共振器構造により,活性領域の体積が,通常の半導体レーザーにくらべて3桁程度も小さくできるために,μAオーダーの低しきい値動作や,高い電力変換効率など,優れた特性が実証されている.また,劈開による素子分離を必要としないため,ウェーハ単位での素子の性能試験が可能であり,量産性に優れる.また,広い面積域から発光するため細いビームが得られることで光ファイバとの高効率な直接結合が可能となる.さらに,2次元アレイ化も容易である.これらの特徴を生かした,コンピュータ間,コンピュータ内の信号を光で送る光インターコネクションや光メモリなどへの応用が進められている.