クロムライサフ(Cr:LiSAF)とは
Cr : LiSAF(Cr3+:LiSrAlF6)結晶は一軸性の結晶であり,1980年代終盤にカリフォルニア大学の研究グループによってLiF,SrF2,AlF3,CrF3を原材料としてゾーンメルティング法で初めて育成された.現在は,チョクラルスキー(Czochralski,CZ)法による合成が可能で,市販品もある.広い吸収帯が三つあり,最も長波長の吸収帯は600~700 nmに存在するので,既存の半導体レーザーによる励起が可能である.また,蛍光スペクトルの帯域が広く,750~1000 nmでのレーザー発振が可能である.これらの特徴は,ダイオード励起の波長可変レーザーや超短パルスレーザーに好適であるとして注目を集め,1990年代初頭から多くの研究がなされた.最近では,実験室レベルのレーザーが実現されている.また,蛍光の緩和時間は67 μmと比較的長く,光増幅器の増幅媒体としても注目されている.→チタンサファイアレーザー