高分子の表面微細構造(microstructure of polymer surface)とは
成形加工して得られたポリマー(高分子)材料の表面は,通常は平滑である.たとえば,OHPシートに使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムのように平滑で光学的に透明である.このフィルムにエキシマレーザーを照射してアブレーションが起きると,透明だった表面がくもり状になる.このくもった平面を電子顕微鏡で観察すると,数μnオーダーの突起が均一に分散して形成されているのがわかる.ポリマーの種類やレーザー照射条件によって,円錐状,波紋状,あるいは回折絡子状などの構造も形成される.このようなミクロンオーダーの微細な形態的な凹凸円形状を総称して,ポリマーの表面に形成された微細構造という.微細構造が形成されるのは,ポリマーに限らず,金属,セラミック,誘電体などのレーザーアブレーションによっても見出されている.微細構造形成の構造の解明や微細構造の応用などが興味ある課題となっている.なお,一般に「高分子の微細構造」というと,結晶か非晶質かの結晶化度を意味するので.これと区別するために,厳密には「高分子表面の形態的な微細構造」というのがよい.