高次高鍋波発生(high-order harmonic generation)とは

周波数ωの高強度超短パルスレーザー光と原子や分子および固体などの物質との非線形相互作用によってωの整数倍の周波数nω(n>2)の光が放出される現象,nを高調波の次数という.中心対数次の有する原子および分子気体中では奇数次の高調波発生のみが許容され,1013~1017 W/cm2のレーザー強度では著しく高次の高調波発生が観測されている.特にパルス幅10 fs以下のレーザーを用いることで数百次までの高調波が観測されている.また,固体表面に~1017 W/cm2以上の高強度レーザーパルスが照射された場合には,生成される高密度プラズマ中の自由電子との相対論的な非線形相互作用によって高次の高調波が発生する.いずれも高強度レーザーパルスによってのみ生じる典型的な非摂動論的非線形現象である.チャープパルス増幅チタンサファイアレーザーを基本波として用い,希ガスを非線形媒質とすることで,卓上サイズのレーザーシステムでコヒーレント軟X線の発生が可能になっている.基本波の集光条件と希ガスの圧力を最適化することにより位相務合が可能で,高い輝度を有する高次高調波が発生する.光学的波長変換とみなせるので,基本波レーザーのパルス編と可干渉性が軟X線に反映される.真空紫外から軟X線までをカバーするコヒーレント光の発生が可能であり,軟X線領域でのフェムト秒分光用光源としての利用価値が高い.また,複数次の高次高調波を位相同期することによリ.サブフェムト秒つまりアト抄パルえの発生が可能である.→非線形光学,高強度レーザー