近接場(ニアフィールド)光学顕微鏡(nearfield microscopy)とは
光の回折限界を超えた分解能を実現する光学顕微鏡.通常の光学顕微鏡の分解能は,光の回折限界で決定され,半波長程度が限界である.ニアフィールド顕微鏡では,微小な開口から漏れた光で試料を観察する.そのため,顕微鏡の分解能は開口径で決まり,波長より小さな開口を用いることにより,波長を超えた分解能を実現することができる.開口から漏れた光はすぐに広がってしまうため,十分な分解能を得るためには,開口を試料近傍(ニアフィールド)で走査する必要がある.開口を通して試料を照明するタイプ,試料からの散乱光を開口を通して検出するタイプ,試料近傍の場を金属プローブで散乱させるタイプなどさまざまな形態が催案されている.通常は,先の尖った光ファイバの先端を金属でコートし,金属に微小なピンホールを形成した探針が用いられる.従来の顕微鏡の分解能を大きく越える光学顕微鏡として,さまざまな分野での応用が期待されている.