カーレンズモード周期チタンサファイアレーザー(Kerr-lens mode-locked Ti:sapphire laser)とは
レーザー発振媒質であるチタンドープサファイアロッド自体の非線形屈折効果による空間的凸レンズ効果と共振器端のスリッ卜により,パルスの両すそで生じる非線形自己損失変調作用を利用して超短パルスを発生させる.CW ArイオンレーザーまたはLD励起CW Nd:YAGレーザー(2ω)励起固体レーザー.先に開発されたフェムト秒パルス色素レーザーにくらべ,(1)レーザー発振媒質自体が過飽和吸収作用をするため構成が簡単,(2)波長帯域が広く超高速応答で可飽和吸収作用が生じるため,励起状態の寿命が長く飽和エネルギーパラメータの大きい固体レーザーに適している,(3)レーザー媒質が固体であるため光劣化せず,平均出力が~1 Wと大きい(~100 MHz繰返し),(4)発振波長域が690~1080 nmと近赤外である,(5)CW発振からパルス発振への自己動作がしにくいことがあるなどの特徴を有している.現在,チャープ補償用誘電体多用膜鏡を用いて,発振器からとしては最短の8 fsのパルス列が発生されている.