イオンサイクロトロン共鳴フーリエ変換質量分析法(ion cyclotron resonance Fourier transform mass spectrometry)とは

イオンは磁界に垂直な面内で質量数に反比例してイオン価数と磁界強度に比例した周波数でイオンサイクロトロン共鳴を起こして磁界中にトラップされる.複数のイオンではそれぞれの周波数でランダムな位相で共鳴を起こしてトラップされるレーザーアブレーションやデソープションなどで一時に放出されるすべてのイオンもトラップできる.ω1からω2の周波数範囲のチャープ波形,あるいは広い周波数成分のインパルス波形を外部から印加して位相のそろった共鳴を起こさせる.その波形を検出してフーリエ変換し,周波数スペクトルに変換して質量数対価数比を求めると質量分析が可能になる.スベクトル幅から分解能が決まるが共鳴幅はきわめて狭いので,ほかに類を見ない超高分解能質量分析法が可能になる.たとえばCO(質量数:27.994915)とN2(28.006148)の分離などは容易である.イオン化から波形検出までの時間を選ぶことによってイオン種の寿命や新たな誕生なども観測することが可能になる.