フォトニック結晶ファイバ(photonic crystal fibers:PCF)とは
コアもしくはクラッドに空孔をあけることにより,従来とは異なった原理により光を導法するファイバの総称である.PCFは二つに大別することができる.一つはコアにガラスを用い,クラッド部には周期的に空孔を設ける構造であり,屈折率導法型フォトニック結晶ファイバ(index-guiding PCF)と呼ばれている.孔がたくさんあいていることから“holey” fiberとも呼ばれている.このファイバはクラッドの等価屈折率を空孔(屈折率n=1)とガラス(n=1.45)との比率により変化させ,コアより屈折率を下げてコアに光を閉じ込めるもので,導波原理は従来と同じである.“endlessly singlemode”,可視光波長での零分散(広帯域分散制御),スポットサイズ制御が可能などの特徴がある.もう一つのPCFは,コア-クラッド境界での全反射を利用しない2次元ブラッグ反射構造を持つファイバである.これをフォトニックバンドギャップ型フォトニック結晶ファイバ(photonic bandgap PCF),あるいは単にPBF(photonic bandgap fiber)と呼んでいる.PBFではコアが空気でクラッドの屈折率のほうがコアよりも高い場合でも光を導波できる.空気コアにより低損失かつ低分散を光伝送および非線形光学効果の抑制効果が期待される.