フォトクロミズム(photocromism)とは
光反応により,一つの分子がその分子構造を変えて,電子構造の異なる二つの状態を可逆的に生成する現象をいう.二つの状態は,吸収および発光スペクトルのみならず,屈折率,誘電率,双極子モーメント,幾何構造などさまざまな分子物性が異なっている.このような性質を示す代表的な分子には,アゾベンゼン,スヒロベンゾピラン,フルギド,ジアリールエテンなどがある.二つの状態がともに安定であり(熱反応では状態変換しない)なおかつ1万回以上の繰返し耐久性を持つフォトクロミック分子も得られている.フォトニクス分野への応用として,光メモリ,光スイッチ,表示などの検討が進んでいる.