不完全モード同期(imperfect mode-locking)とは
広い利得帯域を持ったレーザーでは,一般に複数の縦モードが同時に発振する.それらのモードが周波数間隔や位相の関係の定まらない状態で発振する場合には(フリーランニング),出力は雑音状となる.関与するすべてのモードの間隔を一定にし,位相を同期して発振させることをモード同期と呼び,理想的にはスペクトル幅の逆数で決まる.幅を持ったコヒーレントなパルスを発生させることができる.しかし現実にはしばしばそれからのずれが起こる.それを不完全モード同期といい,パルス幅がスペクトル幅の逆数まで短くならないこと,コヒーレントなパルスにならないこと,などに現れる.不完全モード同期パルスのモデルとしては,よく用いられるGaussian noise burstモデルのほかに,ドメインモデルや帯域の一部が同期して残りがフリーランニングであるpartial lockingモデル,線形分散とランダムな位相ゆらぎが複合したモデルなどが検討されている.