光化学ホールバーニング(photochemical hole burning)とは
色素や不純物などの色中心の吸収帯が,固体媒質中で不均一に分布しているとき,レーザー光照射によりその一部のみを選択的に励起し,光化学反応をおこなわせて,吸収スペクトル中に穴(ホール)を形成させる現象である励起寿命の間でのみ観測される過渡的なホールバーニングと区別して,永続的ホールバーニング(persistent hole burning)と呼ばれる場合もある.この現象が観測されるのは,一般には,色中心おのおのの吸収線幅(均一幅)が,見掛けの吸収全体の幅(不均一幅)よりも狭くなる極低温においてのみである.光化学ホールバーニング材料を光記録媒体に応用すると,回折限界によって決まるスポットの中の,ある波長におけるホールの有無をデジタル信号として記録できるので,波長多重記録が可能になる.また,シュタルク効果やホログラム,フォトンエコーなどの光学現象と組み合わせて,画像の並列処理や光双安定などに応用する試みもおこなわれている.