光ソリトン(optical soliton)とは

非線形性と分散牲を持つ媒質中では,ある一定的条件が満たされると,ソリトン(孤立法)と呼ばれる形不変の波が伝搬する.光については,光カー効果(光の強度に応じて屈折率の変化が生じる現象),第二高調波発生/縮退パラメトリック過程などの非線形性と,群速度分散(エネルギーの伝微速度の周波数依存性),進行方向に垂直な方向への分散などがつり合うことによって,時間的または空間的に不変なソリトンが生じる.これらを総じて光ソリトンと呼ぶが,特に,光ファイバ中の光カー効果と群速度分散がつり合って生じる伝搬中に形の変わらないソリトンを指すことが多い.これを光通信システムに応用すれば,波形ひずみの少ない良好なパルス伝送が可能になる.光ファイバの製造技術や,短パルス光源および変復調システムの発達により,実用化に向けた研究が活性化している.