徴小球レーザー(microspherical laser)とは

通常のレーザー共振器は何枚かのミラーで光をはさみ込むのに対し,微小球は光ファイバと同様に全反射現象によって光を3次元的に閉じ込める効果がある.表面張力によってきわめて高い真球度が得られる高分子ラテックス,微小液滴,ガラスビーズなどのマイクロートルオーダーの球形微粒子は,104~108といった高いQ値を持つ光共振器としての働きがあり,色素をドープしてポンプするとレーザー発振を誘起することができる.whispering gallery mode resonancesと呼ばれるこの微小球共振現象は,1984年,Tzengらによって微小液滴のレーザー発振が観測されて以来,その物理的特性の理論的・実験的研究が活発に進められている.ミクロなレーザー光源としての応用とともに高効率な光反応場という観点からも興味が持たれており,常温光化学ホールバーニング,微粒子分光,近接場顕微鏡プローブなどへの応用も試みられている.