光ファイバジャイロ(fiber optic gyros(gyroscope))とは
ループ状光路を互いに逆回りに伝搬する2光被の間には,このループが慣性空間に対して回転すると,回転角速度に比例した伝搬時間差が現れる.この相対論に基づくサニャック効果を利用し,両回り光の干渉光強度で度を検出する光ジャイロの一種であるこの効果の感度はループ状光路が囲む面積に比例する.そこで,光路を光ファイバコイルで構成することにより,小型でありながら感度を高めることができる.この発想に基づくジャイロが光ファイバジャイロである.一般に,低コヒーレンスな光源,受光器,光ファイバカップラ,偏光子,位相変調器と長尺の光ファイバループで構成される.干渉光強度変化から直接向転角速度を求めるオープンループ方式の光ファイバジャイロは比較的容易に構成できるが,ダイナミックレンジとスケールファクタ精度に限界がある.そこで光路を伝搬する光を位相変調して干渉光強度を一定に制御し,位相変調周波数から回転角速度を求める零位法構成のクローズドループ方式が実用化されている.また光ファイバ中での後方散乱,偏波変動,非線形光学効果などが引き起こす雑音を有効に排除する手法が発明されて,1 μradオーダーの両回り光間位相差が測定できるようになり,地球の公転速度(1年に1回転)程度の分解能も達成されている.航空機,ロケット,船舶の慣性航法用などの従来からの応用に加えて,瞬間起動性,可動部分のない構造,扱いやすさなど,光ファイバジャイロはその特徴を生かして,さまざまな民生用途も開拓している.→ASE光源,レーザージャイロ