非点収差[半導体レーザーの](astigmatism)とは

一般に端面発光型の半導体レーザーでは,接合面に垂直な方向と平行な方向とで,光を閉じ込める導波構造が異なるため,出射光を結像するとスポット径が最小となるビームウェストの位置がそれぞれの方向で異なる非点隔差特性が観測される.すなわち半導体レーザーでは,光源自体が理想的な点光源ではなく収差を持っていることになる.この非点隔差は,導法モードを決定する複素屈折率分布の虚数部である利得および損失の分布に大きく依存する.一般に利得導波型レーザーは数十μmから100 μm以上という大きな非点隔差を持つのに対し,屈折率導波型レーザーの非点隔差は10 μm程度あるいはそれ以下と小さい.光ディスクやレーザープリンタのように,レーザー光を極小スポットに絞って用いる用途では,非点隔差の小さいレーザーが必要とされる.