半導体微小共振器(semiconductor microcavity)とは

発光領域(通常は量子井戸層)がその発光波長と同程度の共振器長を持つ共振器中に置かれた半導体素子.多くの場合,共振器を構成するミラーには誘電体多層膜からなる分布ブラッグ反射能(DBR)が用いられ,量子井戸層とともに分子線エピタキシーや有機金属気相エピタキシーなどの結晶成長技術を用いてモノリシックに形成することができる.作製技術上の制約から,現在作製されているのは,ほとんどがファブリ・ペロー型の1次元微小共振器である.微小共振器中では,共振器方向の光の電磁場モードが離散的になリ,共振条件を満たす電磁波は定在波を形成する.この結果,発光層における自然放出が制御され,放射パターンや自然放出寿命が変調されることが,実験的に確認されている.半導体微小共振器の応用として,2次元・3次元微小共振器を持つ半導体レーザーの低しきい値,または無しきい値特性が期待されている.一方で,1次元共振器においても放射パターンが制御される結果,高い外部量子効率やキャリヤ寿命に制限されない高速スイッチングなどが実現可能であり,高性能LEDとしての研究も高まりを見せている.