ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatitc)とは

歯や骨の主成分で,リン酸カルシウムの一種であり,化学式はCa10(PO4)6(OH)2(分子量1005)である.六方晶系に属し,空間群P63/mに属するイオン結晶で,その格子定数はα=9.43 Å,c=6.88 Åである.また理論的なCa/P比はモル比で1.67,重量比で2.15であるが,生体アパタイトではCaやPイオンの一部がほかのイオンと置換しているためや,結晶欠陥のために重量比で2.04程度である.生体親和性があり,特に骨との親和性はきわめめて良いため骨欠損部の補充材として理想的な材料であるが,力学的に弱いという欠点を持つので,一般に金属材料上にコーテイングしてインプラントして使用する試みがなされている.そのほか,タンパク質,核酸の吸着,分離,アルコール類の吸着,脱水,脱水素を示すため,科学センサへの応用も期待されている.