X線光電子分光法(X-ray photo electron spectroscopy:XPS)とは

光を照射すると光電効果により物質内電子が表面から外に光子として放出される．照射光が単色光であれば，光電子のエネルギースペクトルから物質内の電子状態の情報が得られるため，重要な解析法の一つである．光電子の脱出深さは1 nm以下であり，物質表面の情報が得られ，近年多用されるようになり重要性が高まっている．内殻電子も周囲の環境によって微妙な影響を受けるが，内殻が励起できるX線光電子分光法(XPS)では元素を特定した情報が得られるため，多元素系の分析ができる．X線の集光ができなかったため空間分解ができなかったが，ナノメートル程度の微細構造の解析を可能にするべく，いろいろな手法による空間分解XPSの研究がおこなわれている．