液晶(liquid crystal)とは

通常,物質は気体,液体,固体の三つの状態を示すが,液体と個体の間に流動性と異方位を併せ持つ第四の相を持つ物質がある.液体と結晶の両方の性質を併せ持つことから,このような物質を液晶と呼んでいる.系の対称性をはじめ構成粒子の種類や形状などから,液晶は多くの種類に分類されている.しかし,現在表示素子などに実際に応用されている液晶のほとんどは,ネマティック液晶と呼ばれる最も単純な系であるこの場合,細長い形状を持つ液晶分子は互いにある一定の方向を向こうとする性質を持ち,その方向が光軸となる正の一軸結晶としてふるまう.さらに,液体状であることから分子の向きが容易に変化するため,小さな電界で光軸方向を変化できる.これらの性質から,低電圧できわめて大きな電気光学効果を得ることが可能となり,したがって小型かつ軽量でかつ低駆動電圧で低消費電力という液晶デバイスの特徴がもたらされる.