エキシマレーザーアブレーション(excimer laser ablation)とは

レーザーアブレーションのメカニズムは照射するレーザー光の波長によって異なる.たとえば,波長の長い赤外線レーザーや可視光線のレーザーの場合はレーザー光が材料に吸収されると,材料の急激な温度上昇とともに溶融・蒸発の熱プロセスを経て主に中性の気体となって放出される現象となる.紫外から真空紫外域で発振するエキシマレーザーの場合は,光子エネルギーが大きいため,光分解反応により分子骨格を形成している化学結合を1~2個のフォトンで瞬時に爆発的に切断する光化学アブレーションとなる.基本的に熱プロセスを伴わない除去であるエキンマレーザーアブレーションでは,熱影響の少ない高精細で微細な分解および除去加工が可能になるたとえば,真空紫外(193 nm)で発振するArFエキシマレーザーの光子エネルギーは6.4 eVであり,吸収率が大きい固体表面では,照射表面の浅い層で熱によらない光学的なエッチングが効率的に起こり,光熱変換が小さくクリーンな表面が得られるという特徴がある.産業応用としては,フレキシブノレプリント基板の精密穴あけ,インクジェットプリンタのノズルの穴あけ,視力矯正手術などがあげられる.→レーザーアブレーション,レーザーアブレーション整形