エキシマレーザー(excimer laser)とは
通市,基底状態では分子を作らない希ガスや金属原子が成分元素の混合気体中の放電,または電子ビーム照射によって励起状態あるいはイオン化状態となることによって反応性が高まりハロゲン原子などと結合して形成する分子をエキシマあるいはエキシプレックスと呼び,そのような励起分子を用いた気体レーザーをエキシマレーザーという.エキンマはレーザー遷移の下準位が解離状態でつねに分布がゼロであるため,レーザー媒質として優れている.放電や電子ビーム励起によって生成された希ガスエキンマ,希ガスハライド系,金属ハライド系,希ガス酸素系のエキシマが誘導放出によって可視から真空紫外域で,パルス発振する.高気圧下におけるエキシマの生成効率は高く,紫外線レーザーとしては例外的に高い発振効率を示すものが多い,発振波長はKrFで248 nm,XeClで308 nm,ArFで193 nmあり,パルス幅数ns,尖頭出力数MWが容易に得られる高繰返し動作も可能であり,平均出力も大きいので,光化学や紫外分光の光源として利用されている.また,芳香族環などDNAの吸収を利用する医学分野への応用や,最近では,半導体の微細加工用に回路パターンを転写する光学系の光源として,さらに数pmに狭帯域化することで色収差を防ぐ技術などが工業化されている.また真空紫外領域の放電発振を目指し,基礎研究が盛んである.→希ガスエキシマ,希ガスハライドエキシマレーザー,狭帯域エキシマレーザー