【初めてのフェムト秒パルス圧縮と自己相関パルス幅計測法】
 1981年に0.1psパルスの発生に成功したBell lab.のShankらは、彼らが開発した衝突 パルスモードロックで発生した超短パルスを Nakatsuka らが開発した光ファイバーによるパルス拡張に触発され、はじめてフェムト秒パルスへの圧縮に成功しました。Shankらはよく知られているように、フェムト秒発生で大きな業績を残した後、米国の加速器研究の中心であるローレンス・バークレイ研究所の所長に抜擢され、レーザー技術の加速器技術への応用に大きな役割を果たしました。 Shankらはリング共振器型衝突パルスモードロック色素レーザーで619nmの波長で90fs のパルスを発生させ,それをNd:YAGレーザーの 2 倍波励起で 4 段増幅を行ない、十分強いパルスにした後、15cm 長のファイバーに集光しました。結果的に、パルス幅は 30fs まで圧縮されたことが厚さ 0.2mm の極薄 KDP 結晶の第 2 高調波発生を利用した自己相関によって計測されました。前述の Nakatsukaらの方法に比べ、同じ光ファイバーを使ってはいても、Shank らのパルス拡張は数 nJ、90fs のパルスを 30 ミクロン径のファイバーに集 光しているために、ファイバー内強度は数 GW/cm2 に達しています。そのため、ファイ バーにおける分散はレーザー光強度に依存する非線形群速度分散を利用している点が異なります。結果、パルスを圧縮できる最適なパルス強度が存在するようになり、それらは前もって計算する必要があります。それだけではなく、パルス幅計測のために用いた KDP の 第 2 高調波発生自己相関計測でも、結晶内で屈折率分散が発生して、位相整合条件がずれていってしまうために、結晶長に制限が発生します。この実験ではパルスの遅延時間を 5fs 以下に抑えるために、KDP 結晶の厚さは 0.2mm とされました。

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