【Ashkin の 1970 年論文】
Ashkin の 1970 年論文から始めましょう。当時、ベル研にいた Ashkin は光が与える力に興味を持ち、光子圧などの利用を検討していたようで、それが筆者が若いときに見た空中に微小球を持ち上げている写真だったのでしょう。この論文では光が作り出す井戸型ポテンシャルが議論されており、2 種類の具体的な応用が提案されています。エネルギー準位に同調したレーザー光を原子や分子に照射すれば,光を吸収した原子や分子は四方八方に等方的に蛍光を放出するので、光の運動量は効果的に光から原子に移行します。これによって原子は加速減速が可能となり、空間の一点にトラップすることが可能となります。これはレーザー冷却の原理そのものの提案です。また、透明微小球における光の屈折効果も計算しました。図に見るように、微小球に入射したレーザー光は透明球によってビーム中心に向かって屈折します。この屈折は光に勾配力を発生させ、微小透明球はレーザービームの中心に捕捉されて、ビームから離れないことが分ります。これを 3 次元に拡張したものが光ピンセットとなったわけです。レーザーが与える微小な力を解析し、それが微小な物体なら操作可能なことを明らかにしました。もちろん、細胞操作などは水中で行ないますので、その浮力も利用することができ、光ピンセットの有効性はさらに高まったといえます。

無料ユーザー登録

続きを読むにはユーザー登録が必要です。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
ログインパスワードをメールにてお送りします。 間違ったメールアドレスで登録された場合は、改めてご登録していただくかお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目