【50年後の事情説明】
Maiman論文のルビーレーザー成功をめぐってはBell研究所との間で一悶着がありました。Maiman論文がPRLから却下されたこと、NYタイムズでの発表とその後の論文の間で写真が異なったことなどです。PRL自身がBell研が作ったような論文誌だったこともあり、恣意的に論文却下をしたのではないかと疑われ、その後も論争の的となりました。実際、2010年にレーザー50年を記念してBell研は事情説明する論文をPhysics Todayに発表して、自分たちは不正を働いたりはしなかったと説明をしました。客観的に見ると、MaimanのNature論文はBell研のPRL論文に比べると、詳細なデータに欠け、Bell研論文が追試をしてくれたから、確かな学術成果と認められるようになったともいえます。これらの経過を見ると、物理論文としての明確な証拠を要求したPRLには正当性があるし、Natureはマガジンとして、これは重要な結果だと判断すれば、厳密性より歴史的重要性を重視したといえます。今日も問題とされる学術誌とは何か、という評価につながるところです。
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