【固定波長レーザーから波長可変レーザーへ】
ルビーレーザーに始まったレーザーの歴史は当初は発光効率の良い機構を求めて発展をしました。そのためには、気体レーザーのように周囲の環境からの擾乱を受けず、原子の特性を最大限に引き出すことが重要となります。一個の原子、すなわち単独原子の発光スペクトルは本来、無限に狭い線スペクトルではなく、その順位にとどまることのできる寿命の逆数に比例する自然幅を持っています。これは量子力学的な不確定性関係で決まる線幅なので、その範囲内にある原子や分子は同じ確率で光学遷移に関係します。ただし、遷移確率はそのスペクトルピークの値で決まるので、幅が広がればその分、遷移確率が小さくなるのは、他からの擾乱によるスペクトルの拡大、衝突によるドプラー幅、圧力幅、格子振動の影響など、周辺原子との相互作用の影響と同様です。その相互作用の機構によって、スペクトル広がりは均一幅と不均一幅に別れており、ドプラー幅やガラスによる局所結晶場の影響のような不均一広がりは不均一場であって、入射光と相互作用できる範囲は均一幅の範囲内なので、スペクトル・ホールバーニングが観測されるようになります。
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