【可飽和吸収色素の原理】
 ここで可飽和吸収色素の FOM(Figure ofMerit)の意味を説明しましょう。簡単のために 2 準位系で考えます。光吸収するということは光吸収に応じて下順位にある分布数が上準位に遷移します。ただし、普通の状態では下順位の分布数 N1≫N2 は巨大であって、光学遷移後も下順位の分布数はほとんど変わらないので、吸収係数は変化しないと考えます。これがランバート則,吸収係数の考え方です。吸収係数を構成する要素は,吸収断面積と上下の分数の差 N1−N 2 です。
 しかし、もし吸収断面積が非常に大きくて、同じ光吸収をしたときに、下順位の分布数が減少し、その分、上準位が増加すると、吸収係数が減少し、ついには N1−N2=0 となって、色素セルは Bleaching、透明化するのです。卒業研究時代に、PRL に selfinduced transparency の論文が出たとき、そんなこともあるだろうが、その重要性がよく理解できなかったことを覚えています。

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