【レーザー損傷検出】
 高出力レーザー技術にとって、光学素子の レーザー損傷は重要な課題である。というのは誘導放出の原理そのものがレーザー光強度が高くなるほど、効率が向上する機構なので、レーザー損傷はそれを阻害する最大の要素となるからです。そのため、1960 年代からレー ザー損傷の研究は行なわれてきたが、その検 出技術は基本的に顕微鏡による目視観察でした。
 右に示したノマルスキー顕微鏡は、干渉顕 微鏡で、光の位相の差を色として観測できるので、もっとも感度の高い計測法として用いられてきました。たしかに図に見るように高吸収の結果、溶融破壊されたタイプのレーザー損傷も、吸収は少ないが薄膜内の機械力で薄膜が破壊され、薄膜が剥がれたり、クラックが生じる場合、さらには薄膜間に隙間があいて干渉条件が変わるような種類の損傷 まで、光学薄膜に生じたわずかな変化も観測可能となる。ただし、顕微鏡観察はどうして も観測者の経験、技術に依存するところがあり、客観的に評価し、薄膜製造技術にフィードバックを与えることが困難でした。より高感度でかつ客観的な計測法が必要でした。

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