【薄膜の微細構造、グレイン形成】
今回は触れませんが、高性能な光学素子を開発するには、高品質な研磨をする必要があります。一般には光学基板の特性として λ/10 の平面度を要求します。た し平面度だけではなく、表面粗さも必要で、重力波研究に用いたような PPM 損失超高品質ミラーのためには、サブÅの表面粗さが必要となります。光の波長の 10 万分の 1 レベルの表面粗さが必要というのは、どうしてでしょう。図に示したのは、表面粗さが膜質に与える影響を電子顕微鏡観察した例(室谷、表面技術、71,590,2020)を示しました。表面粗さが悪いと巨大なグレイン構造が観測され、平坦な表面すら作れないことが分かります。いわゆる光学薄膜には表面粗さが 1nm(10Å)以下でないと難しいのです。そのレベルでも電子顕微鏡写真に見るように表面には小さなぶつぶつが観測され、散乱中心が存在することが分かります。レーザー用薄膜はこれでは良い性能を出すことができません。同時に、膜の内部をよく見ると、一様な構造をしておらず、なにやらいろいろな形の柱状の構造が観測されます。これらは光学特性にどのような影響を与えるのでしょうか。普通の光学技術ではこれらの影響は平均化される結果、無視されてきたのが普通でした。
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