【レーザー研究者としての重力波天文学との出会い】
筆者は1980年代は相対論的電子ビーム励起KrFレーザーによる核融合用ドライバーの研究というプロジェクト研究をしていました。大出力レーザーの経験はあっても、超高安定化レーザーなどはまったく未経験、それまでは無関係な研究分野でした。しかし、前述の経緯があって、重力波研究が若手だけで提案することになったとき、最初の計画で安定化レーザーの計画代表者だった電通大レーザー研の宅間宏先生が、「君の名前を書いておいたよ」と私に告げました。私自身は中身も知らないし、ちらっと計画調書を見ると、10-21の周波数安定度などと、とんでもないことが書いてあるので、とても通らないだろうと聞き流して自分の研究を続けていました。そんなとき、あの科研費が通った、という連絡が来たのでした。そして筆者は計画研究の代表者4人のうちの一人になっていたわけです。通ったからには責任を持たなければなりません。宅間先生の研究室で卒業研究を始めていた4年生、上原昇君を先生として、一緒に勉強を始めたものでした。
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