【理研が開発した AOTF レーザー 1996 年】
 AOM 応用周波数フィルターの応用例で日本の研究を紹介してみよう。理化学研究所のWada & Tashiro のグループは 1996 年に右のような AOTF(Acousto-Optical TunableFilter)論文を発表した。時代は流れて,1996 年当時は波長可変レーザーは Ti:sapphireレーザーに変わっている。1971 年に開発された AOTF 技術は素晴らしいアイデアだったが、CaMoO4 結晶を使う場合、液体・結晶フィルターであることが使いづらい理由だった。そこで理研グループは Ti:sapphire レーザー用に TeO2 AOTF を開発した。TeO2 AOTF の場合、AOM におけるレーザー光の許容角が大きいので、上図右の非平行配置でも高い効率で動作する。高周波を印加すると、TeO2 結晶内に生まれた音響的回折格子でビームが偏向されるが、図のようなプリズムを挿入することで、波長が変化した解説ビームは互いに平行化される。この回折光を反射すれば、結果として、ブラッグ反射と同じ効果を生み出し、非平行配置が生み出す非対称性が解消されることになる。liquidcrystal system に比べて、はるかに効果的なデバイスとなった。その結果、Ti:sapphireレーザーの波長可変範囲は上図左のように 12nm から>100nm と、劇的に拡大された。

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