【He-Ne レーザーのない時代のレーザー共振器の調整方法】
 ルビーレーザーの発振当時、さらに 1960 年代には軸合わせ用の He-Ne レーザーなどは市販されていません。筆者の学生時代、1968 年当時、He-Ne レーザー自身が研究対象で、真空ラインにつないで He-Ne レーザーを研究室で自作していましたので、持ち運びをすることは不可能でした。そんなとき、レーザーの共振器はどうして調整していたかを紹介しましょう。

 最初は CO2 レーザーです。CO2 レーザーの場合、共振器調整には全反射鏡と出力鏡の 2枚のミラーを調整する 2 人の学生が必要でした。長さ2m程度の放電管の中心を通して反対側のミラーをのぞき込み、自分の瞳の像が見えると、全反射鏡は中心軸を向いていることになります。その段階で、今度は出力鏡を調整していきますが、CO2 レーザーはCW レーザーなので、放電状態で出力鏡を調整していき、アライメントが取れた瞬間、眼を保護するためのアクリル板にレーザー損傷が生じてレーザー発振したことが分かります。まさに自分自身の瞳を使ってアライメントをしていたわけです。光学技術の中で、光学歪みという言葉が使われる起源と関係するような気がします。

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