レーザー物理学の文脈において、レーザー利得媒質とは光(典型的には光ビームの形状)のパワーを増幅することができる媒質である。そのような利得媒質が共振器のロスを補うためにレーザーには求められており、活性レーザー媒質とも呼ばれている。光増幅器におけるアプリケーションにも使うことができる。利得という用語は増幅量を指している。
利得媒質が増幅された光へエネルギーを与えるに伴い、媒質自体が励起と呼ばれるプロセスを通じていくらかのエネルギーを受け取らなければならず、それは典型的に電流(電気励起)あるいはいくらかの光の入力(→ 光励起)を、典型的にはシグナル波長より短い波長で取り込む。
レーザー利得媒質の種類
様々な極めて異なる利得媒質が存在するが、そのなかで最も一般的なものを以下に示す。
- GaAsやAlGaAsあるいはInGaAsのような特定の直接遷移半導体は典型的には電流によって、しばしば量子井戸の形で(→ 半導体レーザー)励起される。
- Nd:YAG (ネオジウム添加イットリウムアルミニウムガーネット → YAG レーザー)やYb:YAG (イッテルビウム添加 YAG)、Yb:ガラス、Er:YAG (エルビウム添加 YAG)または Ti:サファイアの様な特定のレーザー結晶とガラスは固体の欠片(→ バルクレーザー)あるいは 光学ガラスファイバー (→ ファイバーレーザー、ファイバー増幅器)の形で使われる。これらの結晶やガラスはいくつかのレーザー活性イオン(ほとんどの場合3価の希土類イオン、時には遷移金属イオン)を添加され、光学的に励起される。そのような媒質を基にしたレーザーは時々添加絶縁体レーザーと呼ばれる。
- セラミック利得媒質も存在し、ふつう希土類イオンを添加される。
- レーザー染料は染料レーザーにおいて、典型的には液体溶液の形で使われる。
- ガスレーザーは特定のガスあるいは混合ガスを基にしており、典型的には放電によって励起される(例、CO2レーザーとエキシマレーザー)。
- より特殊な利得媒質には、化学利得媒質(化学エネルギーを光学エネルギーへ変換)、核励起媒質、自由電子レーザーにおけるアンジュレーター(速い電子ビームからのエネルギーを光ビームへ転換している)がある。
ほとんどの結晶質材料と比べると、イオン添加ガラスは一般的に非常に広い増幅バンド幅を示し、広範囲波長チューニングと超短パルスの発生を可能にしている。欠点は熱特性で劣る(達成可能な出力を制限している)ことや低いレーザー断面であり、より高い閾値励起出力と(受動モードロックレーザーにとって)Q-スイッチ不安定性についてより強い傾向へとつながっている。より詳細についてはレーザー結晶対ガラスの記事を見てほしい。
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