量子カスケードレーザー(quantum cascade laser)とは
半導体量子井戸内に形成された量子準位間の電子遷移,すなわちサブバンド間遷移による発光を利用したレーザー.サブバンド間遷移によるレーザーは,江崎らによる半導体超格子の提案の翌年の1971年にKazarinovとSurisによって提案され,1994年にAT&TのCapassoのグループによって初めて実現し,同グループがquantum cascade laserと名づけた.従来型の半導体レーザーとは異なり,pn接合を必要とせず,多段の電子遷移によって注入電子1個につき多数の光子を放出できるほか,井戸層の厚みを変えることで発振波長を赤外からミリ波帯まで自由に設定することができる.したがって,高出力の中赤外半導体レーザーとして期待されている.