ファラデー回転子鏡(Faraday rotator mirror:FRM)とは
通常の単一モード光ファイバを伝搬した光の偏波面は,光ファイバの温度変化,曲げなどにより容易に変化する.したがって,光ファイバの伝搬光を偏波依存性のあるデバイスに導く必要のあるシステムや光ファイバ干渉系では,この偏波変動が性能劣化を引き起こす.このような背景から発明されたのが,ファラデー回転子鏡である.単一モード光ファイバの先端にコリメータを設け,その直後にファラデー回転子と反射鏡を配した構成で,ファラデー回転子では往復で90°の偏波回転が生じる.この結果,光ファイバを伝搬してきた二つの直交直線偏波成分は,この鏡で反射される際に互いに入れ換わる.そして光ファイバ中を光が逆にたどっていく間に,それぞれ他方の偏波成分が往路で受けた位相回転を受けることとなり,両偏波成分とも往復で等量の位相変化を受ける.つまり,光ファイバを往復した光の偏波状態は,入射時のそれと直交するものの入射偏波状態が安定なら,やはり安定である.