光パラメトリック発振器(optical parametric oscillator:OPO)とは
光の和周波混合の逆過位である光パラメトリンク過程では次の非線形感受率を持つ媒質(通常は非線形光学結晶)に周波数ωpのポンプ光(励起光)を入射すると,ωp=ωs+ωiを満たす周波数ωs,ωiで光の増幅作用が起こる.この非線形媒質を光共振器の中に入れて光学的負帰還作用を与えると,シグナル光(ωs)とアイドラ光(ωi)と呼ばれる光パラメトリック発振が得られる.光子のエネルギー保存則と運動量保存則(位相整合条件)のもとで,結晶の角度,温度,励起波長などを変えることで,出力波長を自在に変えることができるため,レーザーでは直接得られない波長の光を得る有力な方法である.通常,結晶の透明領域と共振器鏡の反射特性で波長範囲が決まる.近年の大出力固体レーザーの安定性や出力特性の飛躍的な進歩と,大きな非線形光学定数および破壊しきい値を有する高品質な非線形光学結晶の登場により,特にレーザー媒質の不足している近赤外光の発生や,広帯域波長可変光源として重要性を増している.また,最近では,スクイーズド光発生など非古典光の発生のための光源装置としても重要視されている.→光パラメトリック過程