半導体レーザー(semiconductor laser)とは
GaAsなどの半導体結晶は,波長の短い光や電子線などで励起するか,またはpn接合を形成しキャリヤを注入することにより,結晶固有の蛍光を発するため,励起または注入を十分にすることにより,伝導帯にくみ上げられた電子,価電子帯に作られた正孔の密度が高くなり,いわゆる反転分布の状態になる.反転分布の状態では,蛍光に近い波長の光が外からきたときに外来光に誘導された発光(誘導放射)が起こる.誘導放射が起これば光の増幅が可能で,増幅された光をフィードバックする機構を付加すれば,光発振器すなわちレーザーができる.このように固体や気体のレーザーと同様,半導体レーザーができることは1962年にGaAsについて実証された.現在実用化されている半導体レーザーは,すべてpn接合を有するものである.このような接合レーザー(レーザーダイオード,LD)は,電流を変調することによりレーザー光を高速に変調できる.また,きわめて小型であるが高効率のためレーザー出力は大きく,シングルチップレーザーダイオードで数十mW,アレイ化にすることによって数百Wに達する.最近では,光通信,コンパクトディスクなどの光源として広く用いられている.さらに固体レーザー励起用光源としても注目を集め,産業機器などにも応用が考えられている.