高出力半導体レーザー(high-power laser diodes)とは
光通信や光ディスク,レーザープリンタで用いられている一般的な半導体レーザーでは,2~5 μmの幅から単峰のレーザービームを得ている.このような単一モードレーザーの射出光は光学系の回折限界である数μm径まで光スポットを絞り込むことが可能である.しかしながら,光出力は光出射端面における光学損傷により制限されるため,実用出力としては200~300 mW程度が上限となっている.一方,光出射幅を50~300 μm程度と広げたブロードエリア構造により,光出力を1~5 W以上にまで向上することができる.このようなワット級の高出力半導体レーザーは固体レーザーの励起,熱モードの印刷などの光源として広く使われるようになってきた.また,1次元,2次元のアレイ化により,それぞれ100 W,1 kWオーダーへ出力を増大することが可能である.たとえば1素子当り2 Wのダイオードを20個並べてダイオードバー当り40 Wの出力を発生させ,これを25段積み重ねてダイオードスタックとすることで1 cm×2 cm程度の面積から1 kW以上の出力を発生させることができるものも開発されている.このようなレーザーは加工用途の大出力の固体レーーザーの励起や半導体レーザーによる直接加工へと用途が広がっている.→アレイレーザー,LDアレイ