硬X線結像光学系(hard X-ray imaging optical systems)とは
10 keV以下のX線領域では斜入射望遠鏡や顕微鏡が実用化されているが,硬X線領域(10~100 keV,0.1~0.01 nm)では,ピンホール,コーデッドマスクあるいは密着法によって撮像がおこなわれてきた.ブラッグ反射の原理を用いた「多用膜スーパーミラー(周期長可変多層膜)」の出現によって,硬X線領域においても集光および結像可能な斜入射光学系の適用が可能になってきた.これまでに,25~40 keVの帯域で30%の反射率を持つ斜め入射X線型望遠鏡が試作された.物質の組合せとしてはPt/C,W/C,Ni/Cなどが用いられ,周期長1.5 nm以上,積層数200組以下が技術的限界である.今後,医療技術の革新に向けての応用が期待される.