原子層エピタキシー(atomic layer epitaxy:ALE)とは

従米までの薄膜堆積法で,原子オーダーの膜厚制御や広い膜厚均一性を求めるのはむずかしいが,ALEでは,成膜工程を時間的にいくつかに分割し,その中に白己停止機構という成膜が自動的に停止する機構を内在させることによりこの問題を解決している.たとえばGaAsなどのIII-V族の成膜の場合,従来法ではIII族原料とV族原料を同時に供給して成長をおこなっていたが,ALEではそれらの原料供給を交互におこなうことにより,GaとAsの1原子層を順次表面に堆積させる.その際,蒸気圧の比較的高い原料を用いたり高分解を抑制することにより,過剰に原料供給をおこなっても互いに1原子層で成長が自動的に停止する.その結果,ガスの濃度分布や成長温度によらず広い範囲にわたる均一性が得られ,さらに1原子層ずつの堆積であるため容易に原子オーダーの膜厚制御性が得られる.現在では,化合物材料だけでなくSiやGe膜などのALEも実現されている.