プリズム対は光学素子や光ファイバーでの自己位相変調に伴って生じる正の分散を補償するために用いられる。プリズムの材質にはSF10, SF11のような屈折率の大きい結晶を使い、プリズム対全体で正のチャープをもつパルスに対して異常GVD(負の分散)を与える。

回折格子対によるパルス圧縮では、回折損失が避けられないので、最終的にはパルスエネルギーの半分近くが失われてしまう。しかし、プリズム対ではエネルギー損失を2%以下に抑えることができる。

プリズム対の構成を下図に示す。

プリズム対の構成の模式図

図1:プリズム対の構成の模式図

プリズムP1によりパルスは空間的に分散する。これにより、パルスに含まれる波長のうち、短波長成分は長波長成分よりも大きく回折する。プリズムP1とP2の間の空間では短波長成分がより長い光学距離を伝搬し、長波長成分の光波が時間的に早く伝搬する(正の分散)。プリズムP2内では長波長成分がより長い光学的距離を伝搬し、長波長成分の光波は時間的に遅く伝搬する(負の分散)。プリズム対を透過しプリズムP2から出たパルスは分散が半分だけ補償されている。そしてミラーで反射されは光は元来た光路を戻り、残りの分散が補償される。

プリズムの屈折率をn、プリズムの頂角をα、プリズムP1の入射角をθB、プリズム対の間隔をd、出射角をθf、最短波長での出射角をθfshortとすると、GVDパラメータβ2Pは以下のように表される。

無料ユーザー登録

続きを読むにはユーザー登録が必要です。
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
ログインパスワードをメールにてお送りします。 間違ったメールアドレスで登録された場合は、改めてご登録していただくかお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目