色素レーザー(dye laser)とは
布機色素(染料)をアルコール,水などに溶かし,レーザー媒質とした液体レーザーの一種.1966年,P.P.Sorokinらによって有機色素にジャイアントパルスルビーレーザーを照射し,ラマン散乱スペクトルを調べているとき偶然発見された.最大の特徴は広い波長範囲にわたって連続的に波長可変であるという点であって,原子や分子の超高分解能分光,レーザーウラン濃縮,がんの診断および治療など医学への応用など広い応用範囲を有する励起には,パルス発振用にはQスイッチ固体レーザー,窒素レーザー,銅蒸気レーザー,エキシマレーザーなどのピーク出力の高いレーザーまたは短パルス放電管が,述続発振用にはアルゴンイオンレーザー,半導体レーザー,高輝度アークランプなどが実用されている.最大出力はCWで数W,パルスで400 J/pulse,また可変波長範囲は0.34~1.2 μm,1種類の色素では最大170 nmである.波長同調とスペクトル狭帯域化には回折格子,プリズム,Lyotのフィルタ,ファブリ・ペローフィルタまたはこれらの組合せが用いられ,最小スペクトル幅はジッタを含め200 kHzときわめて狭い.→液体レーザー,固体レーザー