潜水球(バスフィア)の水密扉が開くと、パイロットスーツ姿のナナが現れ、「ヒロも手伝って」と通信してきた。ガラス窓を隔てたレーザー増幅室でエネルギー創出を見守っていたヒロは晴天の霹靂で、「え?」とぽかんと口を開けるしかなかった。
「いまは少しでも〝彼女〟に、『オプト・クリスタル』に感応できる人間が必要なの」
ヒロもナナと一緒に潜水球(バスフィア)にこもって、感応しろということか? たしかにフォトナイザーによってナナを目覚めさせ、《響ⅩⅢ号システム》を再点火させることはできた。しかしそれは、『オプト・クリスタル』に感応したというより、ナナに呼びかけた、といったものだった。
だが、いまはできるかできないかはわからなくても、やらねばならぬときだった。ナナに導かれるままに潜水球(バスフィア)へ向かったヒロは、差し出されたナナの手をつかんでタラップを上り、中に入っていった。
当然、内部は複座型ではない。促されるままにヒロが座り、彼の膝の上にナナが腰かける。膝の上に乗せた『オプト・クリスタル』の上で二人は手を重ね、瞑目して思念を送る。
手のひらにナナの温もりを感じながら、その熱さが次第に高まっていく。まばゆいばかりの光を創出しはじめた『オプト・クリスタル』は、ナナとヒロの脳内に浸透し、そして解け合ったのだった。
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